いのちゆらがせる滞在プラン vol,02

余白の時間で

いのちゆらがせる

白鳥・あわ居

「間(あわい)」に存在する場所・石徹白

 隣の集落から約十二キロメートル離れた標高七百メートルに位置する石徹白は、古くより信仰の対象とされてきた白山の麓にある。石徹白に向かうには、標高九五十メートルの峠を越える必要があり、岐阜県と福井県の県境にある最奥の地だ。冬は豪雪に覆われ、俗世間から離れた「神域」とも呼ばれる。この集落に、郡上の中でもひときわ異彩を放つ施設がある。それが、あわ居だ。
 あわ居を運営するのが、岩瀬崇・美佳子さんご夫婦。崇さんは、結婚を機に手伝うようになった実家の書道教室のかたわら、移住先を探していたが、思うような場所がみつからなかったという。そんなとき「宇宙樹」という本と出会い、推定樹齢千八百年とも言われる石徹白大杉を見るため、石徹白に訪れた。最初に訪れたときは、その別天地ぶりに移住するのは現実的ではないと感じた崇さんだが、縁がつながり、その三年後に石徹白に移住することとなった。「石徹白は、土地にいるだけで、温泉に入っているような心地よさを感じたんですよね。

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そのひとに必要な言葉が生まれる時間

もともと石徹白は、白山信仰の根付く集落。山岳信仰では、山はあちらの世界とされていて、この石徹白は、あちらの世界とこちらの世界を媒介する土地でもある。そういうのが相まって、独特の力を感じる」。
 崇さんは、大学在学中のときから、アートや芸術に興味があり、時間があれば、美術館やギャラリーなどをみてまわっていたという。絵をみていると、日頃の習慣や秩序から距離をおき、自分をいつもとは違う視点からみれるように感じた。そんな中、芸術作品以外のところにも、芸術の名に値するものがあることに気づいた。絵をみることと同じことが、この土地でならできるんじゃないか。そう思い、二〇一八年にあわ居を開業した。
 「あわ居」は古語の「あはひ」から名付けた。あはひには、境目・境界・間という意味がある。日常と非日常のあいだ、現実と非現実のあいだ、これまでとこれからのあいだ、自己と他者のあいだ、といった「場」を生み出す施設でありたいという想いが込められている。

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 当初は「宿」として運営していたが、あくまで提供したいのは、寝食の場=宿ではなく、芸術のような時間であり、「あわい」である、ということから、二〇二一年からは、宿ではなく「施設」や「場」であると名乗っているという。
 あわ居が提供する「余白の時間」は宿泊型のプログラム。「余白の時間」の中では、日常生活から物理的にも精神的にも距離を置いて、いつもの生活の中では整理できないもの、見つめられないものを、岩瀬さんご夫妻と一緒に探求、探索する。対話をしたり、一緒にあたりを歩いたり。もちろんギャラリーや客室で、一人の時間を大切にすることもできる。社会や他者とのかかわり方、自分自身とのかかわり方について深く省みる時間をとることで、新たな生き方や新たな日常をはじめていくためのヒントを得る。
 「書を書いていることもあってか、ずっと言葉に興味があって。社会生活では、自分の本当の言葉は抹消されがちなんですよね。余白の時間では、潜伏させている言葉を引き出すやりとりをする場合もあれば、言葉が流れてくるようにまずは心身がリラックスするための働きかけをすることもあります」。そして、そのひとの状態が整ってくると、ごはんが運ばれてくる。ごはんをつくるのは、妻の美佳子さん。あわ居のごはんは、その場限りの料理。食べたそのひとが、自分自身に立ち返られるよう、つくっているんだそう。「自分で自分の生き方を深く見つめたり、模索しているひとに、「余白の時間」は相性がいい。食事中は、このひといつまでそばにいるの?って思うくらいそばにいますけど、なかにはだんだんくせになってきて、ちょっとしたコーヒーの時間に1人にすると、崇いないの?って言われることもあります(笑)」。

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Theme

余白の時間

 余白の時間は、「その時参加された方にとって、必然的なことが生じる場」です。わたしたち主宰者との対話や共に居ることに重きをおいた時間ですが、お部屋やギャラリーなどでのプライベートな時間も大切にお過ごしください。

滞在イメージ

滞在プランごとに体験していただきたい「いのちのゆらぎ」を設定し、スケジュールに落とし込みました。
滞在される方の状況や季節、希望などにも左右されるので、あくまで一例となりますが、
具体的な過ごし方のイメージをお伝えします。

日程の図

プラン情報

滞在日数

1泊2日

金 額

23,000円-

提供時期

通年

含まれるもの

波線

宿泊、食事(朝・夕)、滞在中のアテンドや対話

注意事項

波線

・標高が高いので、5-10℃程度、気温が違います
・二階は住居のため、こどもの声などの生活音がします
・wi-fiの電波は弱いです
・「余白の時間」は大人対象。「おひとりプラン」と「グループプラン(2〜4名)」があり、それぞれ1泊2日のコースとなります
 ※ 23,000円は「グループプラン(2〜4名)」の大人1名 / 1泊2日の料金です
 ※ 小さなお子さん同伴でのご利用についてはご相談ください

波

重点をおく心得

「神経を覚醒させるあそびをする」こと。

「汗をかき、よく眠り、食べすぎない」こと。

「予想外と予定外こそ楽しむ」こと。

「スマホを置く」こと。

「水に触れる」こと。

「天気や、山や川にあわせて過ごす」こと。

「孤独になる」こと。

「土地のひとに話しかける」こと。

「心の声に耳を傾ける」こと。

「一度は川や山にどっぷり入り、土地の起伏感を身体に刻みこんで帰る」こと。

こり固まったら、またこいよ。

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プラン提案者

プラン提案者の写真

岩瀬 崇(いわせ・たかし)

1987年岐阜県大垣市生まれ。「ことばが生まれる場所」をテーマとして、ジャンル・領域を跨いだ活動を展開。あわ居の運営と共に、自作詩を題材とした「書」作品の制作・発表をしている。著書に『ことばの途上』『詩と共生』など。

プラン提案者の写真

岩瀬 美佳子(いわせ・みかこ)

1981年生まれ千葉県出身。武蔵野美術大学油絵学科卒業。分野を超えて自らの表現を辿り、料理に触れる。現在は食を通した可能性に目を向け、また、モロッコでの滞在中に感じた豊かさの追求から「KAYANN」としても活動、様々な形での表現の在り方を探究する。

宿について

宿

あわ居

Google Map

0575-86-3302

公式サイト

芸術、教育、ケアリング、食、ツーリズム、自然体験、出版などの分野・領域を織り交ぜながら、自身や他者と対話する時間、これまでやこれからと深く向き合う時間、ホリスティック(全人的・包括的)な「生」を養うための場や企画を届ける施設です。

【設備】Wi-Fi(平日日中47Mbps)、コンセント、個室(会議等での会話も可能)、オープンスペース

【清流info】扇川まで徒歩10秒

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